ナレオの歴史

2016年(平成28年)に創部70周年を迎えたナレオ、その誕生から現在にいたるまで活躍の軌跡を年代ごとにまとめました。

1940’s〜50’s ナレオ誕生

ナレオは、1946年(昭和21年)にハワイ音楽を研究し演奏する「ナレオ・ハワイアンズ」としてスタートしました。

大学の軽音楽サークルでは慶應義塾大学の「ライト・ミュージック・ソサエティ」と同じ年の創部で、首都圏のサークルとしては最も古い団体のひとつです。戦前から人気の音楽であったハワイアンは、終戦後の解放感もあって、さらに人気の高まりをみせます。

元祖早大ナレオ・ハワイアンズ。

元祖早大ナレオ・ハワイアンズ。
10年近い時を経て1962年(昭和37年)5月、「白石信とナレオ・ハワイアンズ」としてプロに転向する。

二代目早大ナレオハワイアンズ。昭和30年代後半、慶応の3バンドとともに学生ハワイアンの全盛期を支えた。

二代目早大ナレオ・ハワイアンズ。
1960年代前半(昭和30年代後半)、慶応の3バンドとともに学生ハワイアンの全盛期を支えた。

1960’s ハワイアン全盛期、そして流行音楽への傾倒

1960年代の初期から中期にかけては、日本各地から演奏依頼が舞い込み、夏休みには連日に渡って演奏旅行を行うほどに人気を集めました。有名ミュージシャンのバックでの演奏やテレビ番組への出演も果たします。

昭和39年8月の演奏旅行(大阪)

1964年(昭和39年)8月の演奏旅行(大阪)

昭和40年3月の演奏旅行(長崎)

1965年(昭和40年)3月の演奏旅行(長崎)

昭和42年、夏の富士急ハイランド。ジュニアバンド時代にTBS主催の公開録音番組に出演。

1967年(昭和42年)、夏の富士急ハイランド。ジュニアバンド時代にTBS主催の公開録音番組に出演。

昭和42年、エセル中田のバックを務めるナレオハワイアンズ。

1967年(昭和42年)、エセル中田のバックを務めるナレオハワイアンズ。

1960年代後期になると、ハワイアンに代わり、新たな音楽が海外から日本に入ってくるようになりました。音楽の流行の変化を敏感に感じ取ったナレオは、ハワイアンからその世代の流行音楽へと、演奏ジャンルを変化させていきます。特に当時の人気グループであったアソシエイションや、セルジオ・メンデスとブラジル66などの音楽を取り入れた時期はナレオにとって重要なターニング・ポイントとなります。こうした時期を経て、次の「ロック世代」へとナレオの音楽が大きくシフトします。

1970’s 「ザ・ナレオ」、ロック世代の登場

指向する音楽が変わったことは、団体名の変更にも反映されました。1970年(昭和45年)に「ハワイアンズ」の名称を取り外し、「ザ・ナレオ」としました。その当時のロックは、「ブラス・ロック」がブームでした。

翌年の1971年(昭和46年)に入学した優秀なホーンズ4人が中心となり、首都圏の学バン界最高のブラス・ロック・バンドとしての地位を確立。1973年(昭和48年)12月に日本武道館で行われたバンド・コンテストで見事優勝しました。さらに、ホーンズの人数を増やして、当時最新の音楽として話題を集めたアメリカのバンド「タワー・オブ・パワー」のカバーに挑戦。1975年(昭和50年)10月に新宿厚生年金大ホールで行われた、FM東京主催の「大学対抗バンド合戦」でも優勝を飾り、「早稲田にナレオあり」との評価を確定させました。

1970年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

1970年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

1980’s 「ザ・ナレオ」黄金期

1980年代の日本。高度成長からバブル景気へ…

1980年代は、技術的な革新も相まって、音楽のサウンド・楽曲のバリエーションに富んだ時代でした。1980年代の「ザ・ナレオ」は様々な音楽志向を持った部員が集まった世代であり、次々と個性的なレギュラー・バンドが生まれました。フュージョンなどの技巧派、ダンサブルなR&B派(当時は「ブラ・コン」と呼ばれていました)、不滅の美メロソウル追求派、などなど。

毎年のように新たな顔ぶれのバンドが生まれる一方で、「ダンパ(ダンスパーティー)」でのホストバンドという役割は共有され続けました。学生がパーティーを企画し、学生バンドの演奏でオーディエンスが踊る。どの代も、常に厳しく練習を重ね、オーディエンスを沸かすプレイを心がけ、そして何よりも楽しんでナレオの伝統を守り続けました。

1980年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

1980年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

1990’s 変化する時代の中で

1991年(平成3年)、バブルは崩壊。電子音楽が流行したこともあり、それまでナレオの活動の中心であった生演奏による営業活動も激減します。時代のあおりを受けて部員も集まらず、「ザ・ナレオ」はサークル存続の危機に直面。建て替えのために部室が取り壊され、プレハブでの練習を余儀なくされるなど、「暗黒の時代」とも言われる厳しい時期を経験しました。

しかし、そんな逆境にあっても、残された部員たちは音楽への情熱を持ち続けました。それまでにない活動スタイルを模索しながら、日々音楽に打ち込み続け、次の世代へとバトンを渡し続けました。

1990年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

1990年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

2000’s 新世代登場

「ザ・ナレオ」 2000年代。新世紀の幕開けとともに集結した新世代。

それまでの世代が築いてきた歴史に感銘を受け、名門の一員となるべく入部した者、歴史は知らずとも音楽への情熱に共感し部員になった者。

この世代は、バックボーンや学年の上下に捕らわれず広く交流し研鑽し合う、新しい風土を形成していきました。

2001年(平成13年)に新学生会館が竣工。新しくなった部室に最初に入室したのは2000年代の部員たちでした。皆が思い思いのスタイルで演奏しながらも、やはり根幹にあるのはソウルミュージックへの強い憧れ。グルーヴへの探求心が、いつも部員たちをひとつにしました。当初は少なかった部員も、その想いに引き寄せられるように集まり、増えていきました。

2000年代Aバンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

2000年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

2010’s 平成世代と「ザ・ナレオ」

激動の時代、平成。時代の変化とともに、「ザ・ナレオ」に所属する若者たちの価値観も大きく変わっていきました。ナレオ創部から2000年(平成12年)前後まで続いてきたレギュラー制(※1)はなくなり、個別バンド制(※2)へシフトしました。

※1 レギュラー制:3年生を中心に、その世代を代表するオールスターメンバーで「ナレオ・ハワイアンズ」、「ザ・ナレオ」という代表バンドを組むスタイル
※2 個別バンド制:「ザ・ナレオ」内に複数のバンドが組まれ、それぞれが個別に活動するスタイル

時期を同じくして、音楽ジャンルにおいても、黒人音楽への傾倒が強まり「ブラック・ミュージック・サークル」として知られるようになりました。2010年代の「ザ・ナレオ」は早稲田大学の他サークル・他大学サークルとの交流もより活発となり、学内外で多くの交流イベントが行われています。

2010年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

2010年代バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

現在、そして未来のナレオ

現在、「ザ・ナレオ」の魅力に惹かれて訪れる新入生は、必ずしもブラック・ミュージックの演奏経験があったり、知識が豊富とは限りません。

しかし、彼らは直感的に黒人音楽の良さを感じ取り、「ザ・ナレオ」に集まっています。現代の「ザ・ナレオ」は、その時代において魅力ある音楽を取り入れ、情熱を持って追求するというナレオの伝統を受け継ぎ、これからの新世代へ歴史を繋いでいきます。

彼らは今日も伝統ある早稲田の地で音楽に向き合い、研鑽の日々を送っています。

2016年代現役生バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。

2016年代現役生バンド。創部70周年の記念イベント「THE NALEIO FES. the 70th anniversary of the foundation」にてBLUE NOTE TOKYOに出演。